■会長あいさつ

長野県中小企業診断協会 会長 滝澤恵一

滝澤会長社会が速度を上げて変化をしているようにみえる。

企業を取り巻く経営環境も同じようにみえる。多様化がますます進み、さまざまな価値観のもとで活動する企業や人々が増えて、先が見えないような社会にみえる。多くの中小企業が変化に適応できずに四苦八苦しているようにみえる。

このような中でも、堂々と力を発揮して、業績を積み重ねている中小企業がある。空き店舗を減少させ続けている商店街もある。このような中小企業が地域に増えてくれば、地域は元気になる。このような商店街が増えてくれば、地域での暮らしも仕事も楽しくなる。元気がみなぎってくる。

社会が企業に要請することも、企業、組織で働く人々の働き方も、地域での暮らし方も多様化して変化を続けている。技術も、仕組みも同じである。企業は社会の中で役割を果たしてこそ存在できるのであるから、これらの動きをつかんで企業としての進む方向を示して、これに向かって企業を変えていかなければ社会の中で存在する価値はなくなる。企業で働く人々も変わっていかなければ企業の中での役割を果たせなくなり、役割としての存在価値が失われていく。

混沌とした状態のことをカオスという人もいるが、カオスとは新しい秩序を求めて、さまざまな企業や人々が行動している状況であると、私は考えている。

このような中で、中小企業診断士に求められていることは、「時代を拓き、次代を築く」起業家精神が旺盛で、創造力豊かな人々が経営する企業、組織の支援や地域づくりの支援である。創造とは、バランスをとりながらさまざまなものを組み合わせて新しいものを創り出していくことであるから、新しいもの、新しいことばかりにとらわれるのではなく、よいもの、よいことを活かしながら変革していく支援が求められる。

変化を続ける社会においては、経営や地域づくりの夢や希望、これに心のエネルギーが融合した志は必要不可欠であるが、これだけではものごとを具現化できない。足元を見ない将来は幻想である。「志高く、大地踏みしめて生きる」ことが必要である。

われわれ中小企業診断士の企業支援、地域づくり支援においては、企業経営や地域づくりに関する知識があるだけでは、その役割を果たすことができない。変化に振り回されないで、変化の中から本質をつかみ、社会がよい方向に向かっていくための先を読む見識と柔軟性がある応用力がなくてはならない。企業それぞれに個性があるのであるから、企業のあり方、働き方などについてそれぞれに適した支援をしなければならない。杓子定規では支援にならない。地域にも歴史、自然風土などの個性があるし、何よりも人的風土という個性もあるので、同様である。

企業や地域が向かう方向を示し、的確なノウハウやツールを創り出し、活用していく創造力がなければ役割を果たすことができない。旧態依然のノウハウやツールだけでは、これからの企業経営の支援はできない。地域づくりを支援することもできない。

これからの中小企業診断士は、個人として活動していては限りがある。支援できる内容もフィールドも限られてしまう。互いの能力、知識を活かしあうという協働によって、創造的なものの見方、考え方、ノウハウ、ツールを生み出すことができるし、的確に構想を創り、具現化するプロセス、手段を考え出すことができる。「より以上」の企業支援、地域づくり支援ができる。

ところで、創造力豊かな個々の企業への支援だけでは地域としての活力は生まれてこない。地域づくりに動きだし継続していくにも、地域政策との関わりをもって行っていくことが必要である。

企業経営や労働、暮らしに関わる地域の政策の立案、提案、推進支援も県支部として担っていこうと考えている。産業経済政策そのものはもちろんであるが、産業経済の視点から福祉、環境、教育など他の分野への政策提案をしていきたいと考えている。

企業を変え、地域を変えていく創造力は人財から生まれる。いつの時代でも言われ続けてきた「企業は人なり」をあらためてかみしめる時代でもある。産業経済人、地域づくり人の育成に力を入れていくことが、われわれ中小企業診断士に求められているとともに、われわれも自らを「より以上のプロ」として成長させていかなければならない。自己錬磨、相互研鑽を続けていかなければならない。

長野県協会としても、創造力豊かな中小企業診断士の育成に力を入れていく。「時代を拓き、次代を築く」企業経営の支援や地域づくりに情熱を持ち、見識があり、「ともに行動できる」人財を育成し、活動できる機会を創っていきたいと考えている。