小規模企業のM&Aについて思うこと

4月28日に中小企業庁から、「中小M&A推進計画」の公表がありました。これは、「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」における開催内容から、経営資源集約化等を推進するため今後5年間に実施すべき官民の取組を取りまとめたものです。

主なポイント

①中小M&Aの意義と潜在的な対象事業者について

・「経営資源の散逸の回避」、「生産性向上等の実現」、「リスクやコストを抑えた創業」の3つの観点から中小M&Aを推進

・中小M&Aは年間3~4千件実施されている一方、潜在的な譲渡側は約60万者(成長志向型 8.4万者、事業承継型 30.6万者、経営資源引継ぎ型 18.7万者)

②小規模・超小規模M&Aの円滑化

・事業承継・引継ぎ支援センターと民間M&A支援機関の連携強化を図るとともに、新たな補助類型の創設等により経営資源引継ぎ型創業を推進

・最低限の安心の取組を確保するため、士業等専門家の育成・活用を強化しつつ、保険料への補助を開始して表明保証保険の活用を推進

③大規模・中規模M&Aの円滑化

・中小企業が民間のM&A支援機関による支援を適切に活用できるよう、企業価値評価ツールを提供するとともに、補助金等によりセカンドオピニオンの取得を推進

・M&A実施後の経営統合(PMI)の取組等を推進するため、中小M&AにおけるPMIに関する指針を策定するとともに、中小企業向けファンドによる支援を拡充

中小企業庁「中小M&A推進計画(概要)」より抜粋

私は、②小規模・超小規模M&Aの円滑化ついて、約4年間さまざまな案件にかかわらせていただいてきましたが、取り組んできて思うことがあります。

1つは、引継ぎ先(買い手)をどのように見つけるかという点です。引継ぎ元(売り手)である小規模・超小規模企業は、「地域の事業インフラ」であるため、県外(同業者等)、地域内大規模といった、規模拡大を図る企業とはあわないことが多いです(手続き上うまく進んでも後で問題が出てくる)。上記に記載の「経営資源引継ぎ型創業」のように、引継ぎ先(買い手)となる後継者を育てていく取り組みが重要だと思います。

もう1つは、前述の取り組みをどのように進めていくかという点です。実際にこうしたケースにたずさわった経験から、既存企業を引き継ぐ場合は、一般的な創業以上の苦労が多いことを身近にみております。引継ぎ時(上記に記載の「専門家育成・活用」)だけでなく、引継ぎ後の伴走支援を、地域内の支援機関・行政機関・業界(企業・経営者)などが、連携して実施していく必要があると思います。

柳澤 智生

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