異議あり!「事業再構築補助金」 その2

消費税の免税事業者や簡易課税選択事業者にも消費税相当分を補助金として上乗せすれば、すべて丸く収まると考えるのは早計です。

もちろんこれで解決する事業者もおりますが、問題は補助金には前回述べたように最高上限額が決まっているため、上限額を超えるものを購入した場合は、免税事業者等は損失を被ります。

これも例示すると、補助金上限額が10,000,000円とします。この場合、本則課税事業者は本体価格10,000,000円(税抜き)の機械を購入すると、消費税の申告で1,000,000円の機械の消費税分は控除(還付)されるため、実質11,000,000円(税込み)を国によって賄ってもらったことになります。

ところが免税事業者等の場合は、消費税分を補助対象経費として認めてもらったとしても、補助金で購入できるのは税込み10,000,000円が限度です。本体価格だと9,090,909円(税抜き)となります。つまり事業遂行のため必要な機械が11,000,000円(税込み)であった場合、本則課税事業者は補助金と消費税の減額で結果的に全額が国に賄ってもらえることになりますが、免税事業者等の場合、消費税分の1,000,000円は自己負担となります。これも不平等と言わざるをえません。

結論としてこれらの不平等問題をすべて解決するには、本則課税事業者については従前どおり、消費税を除外した金額で補助金を支払い、免税事業者等の場合は、消費税込みで補助金を支払いかつ最高限度額は、本則課税事業者の最高限度額の1.1倍とするのがもっとも平等な補助金制度であると言えます。

皆さんはどう思われますか?

 

  • 中小企業庁が不正を助長?!

事業計画の補助金申請が採択さると、事業者は次に交付申請の手続きに入ります。計画段階では設備等の購入金額等は概算でOKのため、交付申請において見積書等を取得して交付申請し、内容に問題がなければ交付決定通知が届き、事業者は補助事業を本格的にスタートします。

交付申請にあたっての提出書類も煩雑なため、申請をしてから交付決定がおりるまでに数ヶ月を要している企業もたくさんあるようです。この煩雑な手続きについても言いたいことはたくさんありますが、私が一番問題にしたいのは、建物費の見積書についてです。

税抜き500,000円以上の建物、機械装置等の購入に当たっては2者以上から同一条件による見積書をとって、最低価格を提示した者を選定することになっています。補助金の原資は我々国民の血税によるものですから、見積書をとる、高額な場合は2者以上から見積をとるのは当然のことで、不正を未然に防ぐという観点からもこのことについて異論はありません。

 

ところが事業再構築補助金ホームページに「よくある交付申請時の不備」と題したPDF「交付申請にあたってご注意いただくこと」が掲載されており、その中に建物費の見積書の書き方の不備についての記載があります。

内容は建物の見積を2者以上からとった場合、『見積書の中身の「大項目」「中項目」の名称が一致している必要があり、「小項目」がある場合は可能な限り項目を一致させてください。』との記載があります。

補助事業者が予算額、構造、間取り、イメージなどを詳細に建設会社に伝えたとしても、2者の建設会社から「大項目」「中項目」「小項目」の名称がすべて同じといった見積書(金額や数量だけ違う)が提出されるなんていうことがありえるでしょうか?

 

私は断言できます。100%ありえません。

建物の見積書を作成するにあたっては、必ずそこには設計が入ってきます。施主(この場合補助事業者)の要望をお聞きして予算内でいかに施主に満足していただける設計をするかは、設計士の腕の見せ所です。2者の建設会社に見積を依頼して、全く同じ設計になるはずがありません。設計が違えば建物の形、デザインや使う部材なども全部違ってきます。当然見積書の各項目も違ってくるのが当たり前です。

しかし項目が違う見積書を提出すると事務局より電話がかかってきて、「項目を一致させないと交付申請はおりない」と脅されます。

補助事業者はどうすれば良いのでしょうか?解決策はあるのでしょうか?

to be continued

金丸修一

関連記事

  1. 「健康経営を経営に活かすために」
  2. 事業計画書作成のポイント
  3. 公民連携ファイナンスと診断士
  4. 「紹介者」としての役割
  5. ISO9001規格2015年版
  6. 中小企業のデジタルトランスフォーメーション対応
  7. 二足のわらじ (後編)
  8. 中小企業診断協会に入ろう!
PAGE TOP