企業経営相談・IT化相談、中小企業診断士による情報化・新規事業・補助金・コストダウン等の診断・相談・助言 : 一般社団法人長野県中小企業診断協会

コンサルテーションの虚実

平成20年 1月15日
 長野県支部 田羽多 昌顕

 

 平成19年の漢字に"偽"が選ばれました。産地・原材料偽装、食品偽装、年金問題、防衛省問題、政治資金問題などさまざまな"偽"に国民がだまされた一年でありました。

はたして、コンサルテーションに偽りがなく、コンサルタントはクライアントを適切に指導し、幸福にしているでしょうか。

 "A案"と"B案"があり、"B案"を選択すべきところ"A案"を選択したため"B案"を選択しなかった損失を機会損失というが、この場合結果と して"B案"選択の損得は会計上示されないため"A案"が悪かったことを評価できない。コンサルテーションでこういう指導をしていないだろうか。それ以前 に対策案に1案しか持っていず、どこ(企業)へ行っても"そればっかり"の指導をしていないだろうか。

 ここで、指導以前の課題を幾つか記述してみたい。

●経営者ビジョン
 経営者ビジョンを理解することはコンサルの前提であろう。但し、経営者ビジョンが貧弱な企業・組織とどうつきあうかの課題が一方である。

●企業特性とコンサルテーション
 コンサルテーションは企業特性に合致しているのか、企業特性を無視していないか。古くからいわれている"プロダクト・カスタマー"というのがある。単に 製品・顧客ということではなく、製品ラインナップ、技術、作り方、プロセスのイニシャティブ、生産プロセス分担、市場・顧客、販売プロセス、販売プロセス 分担などの種々の内容をいい、この現状理解から適切な方向性、改革・改善の可能性と優先順を見いだすという概念である。この概念理解が適切なコンサルにつ ながる。また、企業診断は適切な方向性、改革・改善の可能性と優先順を見いだす診断でなければならない。

●改革・改善策の引き出し
 しかし、改革・改善策の引き出しを多く持っていなければどこへ行っても"そればっかり"指導になってしまう。理論武装と実践の裏付けで改革・改善策の引 き出しを増やし、企業・組織の"プロダクト・カスタマー"理解から適切な改革・改善策を実行していく。
 現状特性が見込ロット生産の企業で日程管理の改善を提案するのはいわば"A案"提案である。まずロットサイズを小さくすべきで、これによってリードタイ ム(L/T)が短縮し、在庫が減り、受注角度が高まり、精度の高い販売・生産計画が実現するなどの革新的改善を実現できる。このとき、小ロット生産、 L/T短縮、在庫削減、受注管理、販売・生産計画の立て方などの改善策の引き出しを持っている必要がある。

●財務会計、損得・管理会計、キャッシュフロー
 セールスミックスやプロダクトミックス決定は全部原価計算に基づかない。過去結果の全部原価計算は将来方向性の見いだしに使えない。財務会計プロダクト ミックス、財務会計外注政策など財務会計、全部原価計算に基づく意思決定では間違いを犯す場合がある。
 在庫削減はどうか。在庫削減は、削減年度は財務会計上の損益を悪くするがキャッシュフローは良くなる。財務会計上在庫増減が利益増減に関わるのは全部原 価計算で製品、仕掛品に配付した固定費の在庫部分である。損益は良くも悪くもなっていないのに在庫削減したといっている自己満足。キャッシュフローは我関 せずではコンサルといえない。
 会計のシクミの理解と使い方はコンサルの基礎、前提であろう。

●ベーシック改革・改善
 "5S"、"見える化"は改善のベース、企業・組織が取組むべきベースであろう。しかし、コンサルにおいて"5S"、"見える化"改善が目的になっては いけない。
 "なぜ、なぜ"改善は一見良さそうなツールに見えるが、"なぜ、なぜ、~"考察は時間のムダ。巧遅拙速というが、思い立ったらすぐ改善実行は改善サイク ルを早く回す、進化はやってみることから始まる。時間をかけて巧みな案を考えるのもよいが、できあがったときは陳腐化している、遅すぎる、となりかねな い。

●かけ声マネジメント
 コンサルタントは"かけ声マネジメント"を推奨していないだろうか。一例に"報連相"マネジメントがある。組織の各人に"報連相"マネジメントを説いて も"報告"、"連絡"、"相談"事項が各人によって異なり、組織・企業はいっこうに進化しない。組織の各人の常識が異なるからである。


 以上ほんの数項記述しましたが、コンサルタントは正しい知識、多くの改革・改善策を持ち、正しく使うことを研鑽する姿勢と実践が大切と考えていま す。